活動レポート詳細
11/6(木)後継者(アトツギ)のリアルと未来を語る アトツギ甲子園からはじまる挑戦
11/6(木)に『後継者(アトツギ)のリアルと未来を語る アトツギ甲子園から始まる挑戦』が開催されました!
今回のイベントでは、アトツギ甲子園に挑戦した中四国の先輩たちが登壇し、出場を通じて得た気づきや変化をリアルから、家業を活かした新規事業の構想づくりや事業計画を磨き上げていく具体的なアプローチまで、熱量たっぷりに語っていただきました。
ファシリテーターを務めるのは、一般社団法人 ベンチャー型事業承継事務局長の山岸勇太さん。ゲストには、株式会社若林平三郎商店/株式会社心囃子 若林美樹さん、有限会社森清掃 山添勢さん、株式会社山田屋 高辻孝将さんをお迎えしました。

【タイムスケジュール】
18:00 ー 18:30 開場・受付
18:30 ー 18:40 オープニング・登壇者紹介
18:40 ー 19:55 トークセッション
19:55 ー 20:10 Q&A
20:10 ー 20:20 クロージング
20:20 ー 21:00 交流会
まず初めに、ゲストの3名の自己紹介から。
愛媛県で創業158年目を迎える株式会社山田屋のアトツギである高辻孝将さん。
味のこだわりだけではなくパッケージもこだわることで、“大切な人に大切な場面で送れるおまんじゅう”をつくられています。
次男として生まれたため、子供のころは後継ぎのことは全く考えておらず、大学進学を機に上京し、テレビ東京に入社されたとのこと。
そんな中、長男であるお兄さんが家業を継がないと明言。高辻さん自身、自分の人生を考える中で“社会にインパクトを与える仕事がしたい”という想いがあり、転職に近い感覚で家業を継ぐ決断をしたとお話しされ、そんな高辻さんの軽やかさが印象的でした。

2人目は、倉敷で164年続く株式会社若林平三郎商店/株式会社心囃子を昨年継承された若林美樹さん。
代ごとに新たなビジネスに挑戦し、進化し続ける会社として、合わせて20個もの事業を手がけてきました。若林さんは、先代から運輸・不動産・飲食を継承し、「会社の事業で本当に地域や従業員、お客さんが豊かになるのか」ということを問い続けながら事業運営を行っているとお話しされ、その謙虚な姿勢や先代が繋いできた会社の哲学を大切にする姿に学ぶものが多くありました。

そして3人目は、浄化槽の点検やメンテナンスを生業とする有限会社森清掃をあと2年で承継予定の山添勢さん。
幼い頃から親しんだ美しい水場が失われていく現状に対する“怒り”が原動力となり、浄化槽の管理を自動化するセンサーを大阪大学と共同研究をされています。
熱のこもった言葉で家業への思いと新規事業への挑戦を語る姿は会場を圧倒するほどの迫力がありました。一方で新規事業と既存事業を両立する不安についても率直に共有され、アトツギならではのリアルが伝わる時間となりました。

自己紹介からすでに熱気があふれ、アトツギのエネルギーに会場全体が包まれていきました。
そこからは、会社の未来に直結する採用や人材育成のお話に。
会社を学びの場と捉え、山田屋を土台にキャリアアップしてほしいと願う高辻さんと、自分の代を一緒に走り抜けてくれる人を採用したい山添さんのお話から、組織の規模や社長の色によって、それぞれの採用や人材育成、組織の形があることを学びました。
若林さんは、先代の経営スタイルを踏襲することに違和感を感じ、自分らしいやり方で社員との対話を重ねる中で、柔らかく新体制に代わっていったとお話しされました。

それぞれ方向性やアプローチは異なりながらも、対話を大切にしながら社員に誠実に向き合う社長の姿勢が、社員のモチベーションや成長につながっているのだと感じました。
会の中盤では、今年のアトツギ甲子園にエントリーされているという丸互の岡本さんも壇上に招かれ、ゲストに突っ込んだ質問をする場面も見られました。

最後には、アトツギ甲子園出場時のリアルな裏側をお話しくださいました。
4分という限られたピッチ時間の中で、自分の核を抽出し、会社の枠を超えて地域や社会への貢献を描きながら、ドラマチックに語り切る――その挑戦の裏側が赤裸々に明かされました。
アトツギが自分の人生と家業を重ね、“命を懸ける”ような想いで挑むからこそ生まれる感動があるのだと、胸に深く迫るものがありました。
そんなアトツギたちの姿を見て、「同じ未来を見たい」と助けてくれる人が出てきたり、それまでは反対をしていた社内の職人が手伝ってくれるようになったそう。
アトツギの本気のピッチが社内外に仲間が増えるきっかけになることもアトツギ甲子園の価値ではないでしょうか。
家業を活かした新規事業の構想づくりの話題では、高辻さんから、「自分にとっての新規事業は、新しい商品をつくることではなく、既存商品を新しいマーケットにどれだけ広げられるか」というお話があり、「新しい商品やサービスを作ることだけがイノベーションではない」という山岸さんの言葉も、多くの後継者の背中を押したのではないかと思います。

それぞれの家業に受け継がれてきた歴史や物語を背負いながら、新たな挑戦に踏み出すアトツギたちの姿には、深い尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。
参加者からは、「自分が何を中心の核とするのかということにガツンと頭を打たれました」といった感想が寄せられ、参加者一人ひとりのアトツギ魂に火がともる時間となりました。

最後はみんなで、“ももスタポーズ”!
山岸さん、高辻さん、若林さん、山添さん、そしてご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました!!!